Ptosis
眼瞼下垂症
眼瞼下垂症とは
眼瞼下垂症とは、上眼瞼(上まぶた)が挙上できなくなる(あるいは、挙げにくくなる)状態をいいます。
つまりは、“目が開きにくい”ということです。
加齢に伴う腱膜性(加齢性あるいは老人性)眼瞼下垂症がもっとも多いのですが、原因は先天性のものや、その他、重症筋無力症、ミオパチーといった神経内科的な疾患が隠されていることもあります。
最近、下記の症状に身に覚えはありませんか?
以下のような症状は腱膜性眼瞼下垂症と関係が深いといわれています。
-
上の方が見づらい
-
眼が疲れやすい
-
眼と眉毛の間が広くなった(眉が挙がっている)
-
額のしわが深くなった
-
逆さまつげになってきた
-
頭痛がある
-
肩こりがある
眼瞼下垂症 腱膜固定術症例
左:手術前 右:手術後2ヵ月
眼瞼下垂症と診断、局所麻酔下に健康保険適用での眼瞼下垂症腱膜固定術を施行。
料金
健康保険適用3割負担の場合 自己負担額は約5万円
起こりうる合併症
内出血、開瞼不良、左右差、ドライアイなど
イメージ画像
左:眼瞼下垂の状態
・眉毛が上がっている ・目の開きが不十分 ・おでこにしわがある
右:正常の状態
・額の力を使わずに、目を開くことができている
眼瞼下垂症 腱膜固定術症例(けんまくせいがんけんかすいしょう)
腱膜性眼瞼下垂症の徴候は、三白眼(眼球が上方にあり下の白目が見える)、いつも眉毛を挙げている、いつも顎を上げているなどがあります。
症状として
上まぶたが重く感じる、夕方になるとまぶたが開かない、肩こりや頑固な頭痛などがあります。腱膜性眼瞼下垂症は程度の差はあれ、多くの高齢者で生じますので加齢性(老人性)眼瞼下垂症と呼ばれます。
しかし、若年者でも、まぶたをこする習慣がある人は、腱膜が瞼板より外れたり薄くなったりして、腱膜性眼瞼下垂症になりやすいといわれています。
また、コンタクトレンズ(特にハードレンズ)が原因となるともいわれています。
手術方法
腱膜性眼瞼下垂の場合でも、挙筋機能がどの程度残っているかが重要となります。多くの場合、挙筋機能は残存していることが多いので、外れた腱膜を瞼板の前面の元の位置に固定する手術法(腱膜固定術・挙筋前転術)が選択されます(下記の図参照)。
-
まず、局所麻酔を施します。
-
上まぶたの皮膚を切開あるいは症状に応じて切除します。止血をしながら、眼瞼挙筋腱膜と瞼板を露出します。
-
眼瞼挙筋腱膜と瞼板が確認できたら、この腱膜を適切に目が開くように調節しつつ瞼板に縫合固定します。
-
この際、患者様に目を開けたり閉じたり、座位になってもらったりしてバランスを確認します。
-
十分に止血してから、皮膚を縫合します。
※当院では、健康保険適用での眼瞼下垂症手術を取り扱っております。是非、ご相談ください。
※美容を唯一の目的とする場合には健康保険の適用外となります。
先天性眼瞼下垂症の治療
眼瞼挙筋機能がどの程度残っているかで、手術方法が異なります。下垂が比較的軽い場合(挙筋能が7mm程度以上ある場合)には眼瞼挙筋の短縮術が一般に第1選択とされます。
しかし、眼瞼挙筋の力がほとんど残っていない高度な下垂の場合(挙筋能が4mm以下の場合)には、大腿筋膜や側頭筋膜などを移植して前頭筋の力を利用して吊り上げる手術が選択されます。
手術方法
挙筋能が7mm以上の場合 挙筋前転法
-
腱膜性眼瞼下垂症の術式に準じます。
挙筋能が4mm以下の場合 筋膜移植術
-
重瞼線を2cm程度切開し、瞼板を露出します。つぎに、眉毛の直上を小さく切開して、眼輪筋下でトンネルを作製し重瞼線部の切開とつなげておきます。
-
つぎに、大腿筋膜あるいは側頭筋膜を採取して、これを2ないし3分割して、人型あるいはほうき型に加工します。
-
加工した筋膜を瞼板に固定して反対側を眉毛の切開から引き上げ、目の開きを調節して前頭筋に固定します。
-
眉毛上の切開、重瞼部の切開を縫合します。