Rhinoplasty
鼻の形成術
鼻の形成術とは
鼻と一口にいっても、形、厚み、骨の大きさなど、いろいろな個性を持った鼻があります。骨や複数の軟骨、脂肪の層が重なり合った構造になっており鼻の部位によって解剖学的な特徴も異なります。
例えば日本人の鼻尖は、①皮膚が厚い、②軟部組織が厚い、③その両方のタイプが多く過度な軟骨の縫合はピンチノーズ(鼻先をつまんだ状態)になる可能性があります。
縫合のみで十分な高さや強度が得られないことが予想される場合は、別の種類の鼻形成手術との組み合わせをお勧めすることがあります。近接する前額(おでこ)や目、口唇、顎骨の形状とのバランスを考えることも重要で、別部位への施術をお勧めすることもあります。
このように、どのような手術を組み合わせればよいのかは解剖学を熟知した医師がアドバイスを行います。手術のリスクと得られるメリットをきちんと理解し、十分なカウンセリングの上で手術方法を決めていくことが大切です。
実際に診察しご希望をヒアリングした上で、その方のもともとの鼻の性質に合った手術方法をご提案します。2D / 3Dシミュレーションソフトを利用して、術前の状態を把握し、術後の仕上がりを正確にシミュレートします。ゴールとなる理想の鼻形態を明確にした上で、ミリ単位でのこだわった手術計画を立てます。
鼻の形成術の種類
隆鼻術
隆鼻術とは、一般に鼻を高くする、鼻筋を通すという場合の方法です。日本人は鼻が低く短いことが特徴とされています。そのため、日本人の鼻の手術で最も希望される施術内容が隆鼻術です。
隆鼻に使用する材料は以下の2種類があります。
人工材料
当院ではシリコンインプラント(シリコンプロテーゼ)を使用しています。シリコンは生体反応が比較的少なく、安全な埋入補充材料とされており様々な領域で利用されています。安全性と共に非常にソフトで触り心地も自然なものが確立されています。また、当院ではオーダーメイドで一人一人に合わせてデザインした プロテーゼを使用します。このデザインで仕上がりは大きく違ってしまいます。そのため術前にコンピュータによるシミュレーションを行い、ご希望の高さ・形を明確にしてからプロテーゼを作ります。
メリット
-
加工がしやすく希望の形態に整えやすい
-
抜去・再挿入も可能
-
ダウンタイムが少ない
デメリット
-
輪郭が浮き出やすい
-
周囲に石灰化が生じやすい
自家組織
自身の軟骨(鼻中隔軟骨、耳介軟骨、肋軟骨)、真皮脂肪、筋膜などを移植片として利用します。
メリット
-
自身の組織のため感染のリスクが低い
デメリット
-
吸収や変形が生じるため形態の長期的な予測が完全にはできない
-
移植片採取部の犠牲
-
抜去が困難
手術方法
患者様それぞれの希望に応じて術式が多少異なります。鼻尖まではインプラント、移植片は留置しませんので、鼻尖の高さを必要とする場合は鼻尖形成術などの術式を追加する必要があります。
鼻尖形成術
鼻尖とは、鼻先のことを指します。鼻尖形成術とは、鼻先が丸く上に上がっている(いわゆる団子鼻)を、すらっとした印象の鼻先にする手術です。
この手術はシリコンプロテーゼ法と同様の切開から鼻先の軟骨を整えます。程度により耳の軟骨を少々採取し移植することもあります。
手術方法
多くの場合、大鼻翼軟骨の修正が必要になります。大鼻翼軟骨同士の縫合やトリミングを行うことが基本となります。
縫合のみで十分な高さや強度が得られないことが予想される場合は、自身の軟骨(鼻中隔軟骨、耳介軟骨、肋軟骨)移植や鼻中隔延長術をお勧めすることがあります。
鼻尖形成術のリスク
手術名
鼻尖形成術
施術時間
2~3時間
麻酔方法
全身麻酔
ダウンタイム
大きな腫れが引くのは2週間、完成には3カ月以上かかります。※個人差があります
術後通院の目安
2~3回
抜糸
1週間後に抜糸
リスク
血腫、感染、(ごくまれに)皮膚壊死など
鼻中隔延長術
鼻中隔とは、鼻の左右を分けている壁のことを指します。鼻中隔延長術は、鼻柱を延長して顔全体のバランスを整える手術です。鼻柱を延長することにより、下方向へ伸ばします。正面、斜め、側面からのどの角度から見ても美しい鼻筋に仕上がります。高さを出したり下方に移動させやすいため、日本人に多い短鼻や丸みのある鼻先の改善に非常に適しています。この手術は基本的に『鼻尖形成術』と併用で行います。
手術方法
鼻中隔軟骨に自身の軟骨(鼻中隔軟骨、耳介軟骨、肋軟骨)を移植して延長します。延長方向は術前にシミュレーションし、ご希望の位置に鼻先を移動させます。しかし、過度な延長は斜鼻変形の原因となりますのでおすすめしません。
もともと鼻中隔が湾曲している場合や鼻中隔軟骨の脆弱性を認める場合は鼻中隔矯正・補強も行う必要があります。
鼻中隔延長術のリスク
手術名
鼻中隔延長術
施術時間
2~4時間
麻酔方法
全身麻酔
ダウンタイム
大きな腫れが引くのは2週間、完成には3カ月以上かかります。※個人差があります
術後通院の目安
2~3回
抜糸
1週間後に抜糸
リスク
血腫、感染、(ごくまれに)皮膚壊死など
鼻翼形成術
鼻翼とは、小鼻のことを指します。鼻翼形成術とは、鼻翼の横幅を狭くしたり、ボリュームを減らしたりする手術です。
外鼻孔(鼻の穴)が大きく、前から穴の中が見える場合や鼻翼がはっているような場合(あぐらをかいた鼻)には、鼻翼の余分な皮膚を切除する鼻翼形成が適応となります。
鼻翼形成には、3タイプの手術方法があります。
①内側切除法
②外側切除法
③皮弁法
顔全体と鼻のバランスを考え、手術方法を決定します。他の施術と同時に行うこともありますし、単独で行うこともあります。鼻翼形態の大きな変化を希望される場合や、その必要がある場合は②外側切除法か③皮弁法が適しています。
鼻の穴の内側から余分な皮膚と粘膜組織をとり除き縫合することで、鼻翼(小鼻)をキュッと内側に引き締めます。内側からのアプローチですので傷跡が残る心配はありません。
手術方法
①内側切除法
鼻腔の内側(鼻腔底外側〜鼻翼内側)の皮膚・軟部組織を切除して縫合します。創部はほとんど目立ちません。
②外側切除法
鼻翼の外側の皮膚・軟部組織を切除して縫合します。傷は他の方法と比べて目立つ場所にできます。傷の状態が落ち着くまでは半年程度かかります。内側法を追加することもあります。
③皮弁法
鼻腔の内側(鼻腔底外側〜鼻翼内側)を切開し、皮弁を作成し対側へ牽引、固定することで縮小させます。後戻りが少ないとされています。
牽引する際に歪みが生じることがあるため、その場合は歪みを矯正するために鼻翼の外側まで傷が延長されることがあります。
鼻翼形成術のリスク
手術名
鼻翼形成術
施術時間
1~2時間
麻酔方法
全身麻酔
ダウンタイム
大きな腫れが引くのは1週間、完成には3カ月以上かかります。※個人差があります
術後通院の目安
2~3回
抜糸
1週間後に抜糸
リスク
血腫、感染、(ごくまれに)皮膚壊死など
鼻骨骨切り術
鼻骨骨切術とは、顔面骨である鼻骨の骨切りを行う手術です。原因が骨性のものが対象になります。
骨切り手術により改善できる鼻のタイプ
①鷲鼻
②広鼻
③斜鼻
軟骨が原因の場合もありますので、その際は軟骨の操作も併用することがあります。
手術方法
①鷲鼻
ハンプと呼ばれる膨らみを切除し、鼻筋の傾斜を均一にします。軽度であれば削骨のみを行いますが、中等度以上であれば、骨・軟骨切除後に骨切りを行います。
②広鼻
太い鼻筋を細くします。鼻詰まりのある方は予防的に鼻詰まりの治療を行うことがあります。
③斜鼻
歪んだ鼻骨を矯正します。軟骨も同様に歪んでいる場合も多いため、その際は軟骨の矯正を行います。
鼻骨骨切り術のリスク
手術名
鼻骨骨切り術
施術時間
2~3時間
麻酔方法
全身麻酔
ダウンタイム
大きな腫れが引くのは2週間、完成には3カ月以上かかります。※個人差があります
術後通院の目安
2~3回
抜糸
1週間後に抜糸
リスク
血腫、感染、(ごくまれに)皮膚壊死など